響の会〔清水寛二・西村高夫〕
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寄稿
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渡辺美和子氏
この文章は、2008年5月24日に銕仙会能楽研修所にて開催されました「第20回 清門会」(清水寛二門下素人会合同発表会)にて、能〈蝉丸〉のシテを勤めた村上成子氏ご友人の渡辺様よりお寄せいただいたものです。

 「この度は蝉丸を演じます」とお知らせをいただいてから、楽しみにその日の来るのを待っておりました。シテを演じられた村上さんは、自称「老婆」とおっしゃるわりにはいつもお元気で、長年お能をやってこられた賜ではないかとうらやましく思っております。
 琵琶の名手でありながら盲目のために逢阪山に捨てられた蝉丸は、藁屋でひとり琵琶をかきならしておられます。囃子方の鼓や笛の音にはなぜか「自然」と一体となって心を澄ます力があるように思います。舞台が大きな自然の空間に包まれます。やがて、逆髪が橋がかりから舞台中央に進み出て、京から逢阪山までの道行。「花の都を立ちいでて・・」

 いつものよく通る声で謡い、舞われる姿は、珍しい髪形の中に狂女とは思えぬ気品と憂いが感じられました。
 さて、「外の音するのは誰か」と藁屋の中から蝉丸の声、弟宮とわかって二人が手をとり合って再会を喜びます。見る者には、盲目の弟、逆髪の姉、共に身の上のみじめさを嘆く様につい涙してしまう場面です。私はここで、古く壬甲の乱で、若き大津皇子が謀反のかどで死を賜り、二上山に葬られたことを悲しんで、姉の大来皇女が「うつそみの人にあるわれや明日よりは二上山を弟世とわが見む」と歌われたという万葉の歌が思い出され、胸がふさがれる思いでした。
 能の幽玄の世界の奥深さは私などには到底わかりませんが、「蝉丸」を拝見して、少し能の不思議さ、おもしろさ、人間の深い悲しさを味あわせていただいたように思います。
 村上さんには、これからも「老い」に負けず能の中の人物を演じていってほしいと願っております。
 会場を出ましたら、外は五月闇の雨でした。

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