響の会同人、清水寛二師・西村高夫師。
江口。国栖。仲々素晴らしい能を観せてくれた事、感謝に耐え
ません。
江口のシテの身体の線の確かさ。線の中に表れいでる色。
そして艶。楷書が基本のように思えましたが、位が重いのでなく
高いものだと受けとめました。
艶の中に、にじみでる陰り。遊女の江口の君の心持をかいまみた
気がしてなりません。 キリのユウケン、確かに色は変わりま
した。どう変わったといえばよいのでしょう。その一時だけ
変わったのです。江口の君の闇がその時だけ浄化されたので
しょうか! 江口のシテの陰と闇。これは江口を
観能して来た中で初めて感じた事です。
面はもしかして 替の型の孫次郎でしょうか。そうでなければ申し訳ないのですが、面と曲が合っていたように思います。
もし欲を言ってしまうのを許してもらえるのでしたら、余白の部分の空間を より軽み かつ艶が 拡がるようになるのならば更に 江口の世界が拡がることでしょう。
ユウケンで変化したのはシテのみで、空間全体が変化したわけではなかったように見えたので、そこの空間の色の変化があればとも思いました。
これは次に清水師の江口を観る時の楽しみにしたいと思います。
国栖の西村師、失礼を承知で言えば西村師のイメージは、ふくよかで柔らかいというものでした。
しかし、前シテの謡の押しの強さにそれが間違いであったと気付きました。
アイとのやりとりの緊迫感。それは謡の強さがあればこその話で、二回しか観能してないので自信はありませんが、先代銕之丞師の謡が頭をよぎります。
私は、西村師の男物がもっと観たいです。自然居士を観てみたい。
後シテも面から炎がわきでている強さがありました。
もし欲を言わせてもらえば 前シテの船の谷底のイメージは浮かんだのですが、空の紫雲が 私には余り感じなかった気がしてなりません。
やはり、ワキ、アイとの やりとりの強さの方がより私に感銘を与えたのでしょう。
三役も両曲の位を創り出して来れました。
順之師の締めた中での艶の地謡。銕之丞師の濃淡の色彩の地謡。
私も、全力で観る事が出きました。
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