響の会〔清水寛二・西村高夫〕
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●2006年6月
〔06/06/18〕父の日 今日は朝からケーキがいいワイ 【058】
●6月18日 父の日 今日は朝からケーキがいいワイ
 朝6時半。しまった!パン屋のバイト娘が遅刻、ほら起きろ!いやいや今日は休日で1時間後でいいんだ。ああ。
 「父さん、これ。」 おお、昨日僕が寝るとき焼き始めていたケーキだ。それでいい匂いが漂っている。「それからこれ。」 おお、ユニクロの最新仕様のポロシャツ。サンキュウ。かあちゃんにはキッズのドラえもんのTシャツ。かわいい。

 キキョウが一輪咲く。スパッと。紫の美しき。
 タッちゃんちのハッピイのお散歩。今日はおばあちゃん。「これ素敵よね。」 白蝶花。枝が何本も伸びてそれぞれの先に可憐な花がどんどん。「あ、キキョウも咲いたのね。」 「(タッちゃんちの)白いアジサイ素敵ですね。」 垣根から道に二種類、それぞれ二輪ずつではあるがキリッとした真っ白な素敵なアジサイ。
 「あら座っちゃったわ。」 ハッピイがはあはあ。四五年前はよく首輪を抜けて近所の人総がかりで「ほらあっち」とか行って捕まえたのだが、今はあまり目も見えないらしい。タッちゃんのお兄ちゃんはサッカー少年。タッちゃんもよくボールをけっている。今日はテレビ見せてもらえるかな。

 午後「笛市」の稽古。蒔田のスタジオ・ルラにて。今日は立ち方三人の稽古。申し訳ないがまだ本を手に。最新版の本で幾つかの演出点を確認。私の衣装についての提案。やっぱり能の装束を大蛇の役の時は使わせていただこう。部分的につめていって最後に通す。全体で1時間ほどの作品になるか。

 ポロシャツを下ろして着て行く。新調は気持ちいいね。(このところ腹も出て、おっぱいも少し大きくなって「ちちの日」。) ズボンは、もう10年来はいていてはげた、だぶだぶの黒のズボン(ハラハラクデヨイノダヨ)。
 そうこれはいつか千葉のお寺で、宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」を、家族でやった時の衣装用に買ったもの。なんと言うお寺だたっけ。えーと・・・。夏休み親子野外劇場という感じだったね。本堂で〈鞍馬天狗〉を半能のようにやって(囃子は無しで地謡も西村さんと蓮太郎二人、子方が麻耶、床几を出してくれたのが伽耶か。)、それから外の東屋風の建物のテラスのようなところでやった。

 配役は ゴーシュ 蓮太郎(長男)(※ 現 石っ子蓮さん)
 カッコウ 麻耶(長女)(※ 現 空手娘/パン屋娘)
 狸の子 伽耶(次女)(※ 現 マンドリン娘)
 母ねずみ たよ子(妻)
 子ねずみ 沙羅(三女)(※ ソフトボール娘)
 進行役 寛二(※ 現 しみかん日記作者/清水家弁当係/能役者)
〔「※」…編集部註。家族構成対照表、保存版です。〕

 蓮太郎が中学二年か。そうすると沙羅は小学二年(今のタッちゃんくらい)。セロの中に入れられたときの「うん うまく おちた。」なんていうセリフ、かわいかったねえ。カッコウの「カッコウと1万言えば・・・」や狸の「ゴーシュさんはきたいにおくれるね・・・」のところなどそれぞれに特徴が出てよくやってたねえ。
 セロを弾いてくれたお兄さんどうしてるかな。
 ははあ、うちのみんなも今も稽古に励んでるねえ。麻耶は空手(中段突キ1000本!)、伽耶はマンドリン(32分音符!)、沙羅はソフトボ−ル(フライは落とすなよ!)。蓮太郎は「石っ子賢さん」に倣って「石っ子蓮さん」(地球科学=鉱物専攻。カザフスタンのダイヤモンド!)。
麻耶に「父さんはさすがに本番はちゃんと言うんだね」と言われたのを覚えているよ。子供達がきちんとせりふを覚えてね、僕は細かいところいつもあやふやでね・・・。
 ああ「笛市」のセリフも細かいところきちんとしないとね。今度は22日に本番のホールでの稽古。

 晩御飯(肉じゃが、冷奴、レバー焼き・・・庭のシソが役に立つ)を終えて、サッカーの中継を聞きながら(うちはずっとテレビ無しの生活)、サライのクロスワードパズルを解いていると(これがなかなかできない)、眠くなってごろんと横になって寝てしまったようで、いつの間にか子供達が帰ってなんだかワーワー。ああ君達がそれぞれ巣立って行ってくれるのはまったくいい父の日だよ。 コラ、早く風呂入って寝ろ!

 歯の抜糸は終えて、アルコールの許可も出たが、セキは実はまだ止まらず。
 このところ日記不調なり。体力気力時間の問題。〈求塚〉の「一日一夜を・・・」を始めとして、自分のシテのことやら書けずに終わっている事多し。しかし八億も思うことがあればね。昨日(「真洲の会 - 独演三番能」、朝9時楽屋入りで終演は午後7時過ぎ。四番(〈山姥〉〈求塚〉〈〉)を舞うすごいシテの体力気力)であと今月は舞台無し。復調を期す。


●6月15日 うーえを向いたらきりが無い しーたを向いたらあとが無い どーおせおいらは・・・ ないてたまるかよー
 今日は9時より明日の〈井筒〉(喜正の会)の申し合わせ。矢来にて。終わって市谷まで西村さんと歩き、ラーメンに餃子。午後は青山の稽古日9時すぎまで。帰りの電車、上原の駅で「サライ」を買う。特集「寅さん」。渥美さんと友達になりたかったなあ。小さいころ、寅さんのシリーズの前にテレビで渥美さん主演の連続番組があった。主題歌が「上を向いたらきりが無い・・・」。
・・・負けてたまるか・・・。
 付録に童謡・唱歌のCD。帰ってご飯(おかずは鰤のてりやき)の後に聴く。かあちゃんが落としてところどころビヨヨヨーン。

 昨日の帰りの電車は「文藝春秋」7月号。多田先生がリハビリのことを書いていらっしゃる。(今日稽古場でも署名をお願いする。)
 中野孝次氏のがん日記。病院でCT検査の帰りに立ち食いそばを食べてる。

 ありゃ「写々丸」に肖像権の心外あり。
 16歳という役(〈敦盛〉のシテ)を終えてその年齢的ギャップから開放され、なんだか年齢リバウンドしてるみたいだね。

 これが水曜日で、その前日、床屋さん(青山の「バーバーZERO」)へ。しばらく御無沙汰していて、小泉君のライオン頭みたいだった。(ここへは銕仙会のメンバー何人かお世話になっているので、これはすでに情報として伝わっていた。)
「明日16歳の役なのでどうにかしてください。」「やってみましょう。」
 火曜日が休みの時があるので、そしたらどうしようかと思っていたけれど、これで安心。「小督」までそれでオーケー。(まあ「小督」は烏帽子を着るのでそう目立たないけれど。)
 後でメールでバーバーのマスターに報告。お返事に「見事16歳になれたんですね。よかったです。また次の課題をお待ちしてます。」 よろしくお願いします。
 大体現代の髪型で鎌倉時代の役をやるんだから、能はいい加減だ。まあそれができるところが能の持っている演技術の不思議さだ。

 〈小督〉の時、幕にかかる前に鏡の間の鏡に座して、今まで見たことのない自分の顔を発見。また舞を舞いつつ、これが今までに無く楽しい時間。
 先週役が重なったりして大変だと思っていたらこれが以外余裕があった。
 ああ、写々丸!ビールが飲みたい。明日は抜糸、その結果如何。


●6月14日 ナスカ見る 晩にはキュウリにシソ
 国立科学博物館(家族会員になっている)にかみさんと「ナスカ展」見に行く。ミイラに土器、染織、そして地上絵、ああ、実際に行きたい。
 国立西洋美術館のレストラン「すいれん」にてランチ。残念ながらここは音響環境悪し。もうここは行かない。

 この前に新宿区役所へ(大阪にいる娘がこの夏にモンゴルに行くのにパスポートを取りたいので)、戸籍抄本を取りに寄る。私が二十歳前後の時、百人町の三丁目に住んでいたときがあってその時に父の出身大阪からそこへ移している。結婚して新しい戸籍となってもそのままだったが、もうその地番と何にも関係ないので今度座間に移そう。

 夕方から銀行のお稽古。
〈芦刈〉 ツレの「あしからじ」から。ここはかつて銀座能楽堂にて絶句した思い出のところ。高い調子の「あしからじ」を言った後の「よからん」が出なくて、シテの鵜沢さんが小さい声でつぶやいてくれた「よからん、よからん・・・」(この時まだきちんと交際していなかった未来の細君が見所にいたのである)。

 薬飲まずに、セキ不思議にとまってくる。


●6月13日 ホー ホー ホータルこい あっちのみーずは甘いぞ こっちの水はかーらいぞ
 朝稽古能 〈松風〉と〈水無月祓〉。今朝の電車は坐るに失敗。稽古能出席少し少ない。休むなよ。僕もセキが苦しくて休もうかと思った。(〈水無月祓〉もなかなか覚えられなかったし・・・) でも稽古は出れば回路の日和あり。
 セキが苦しいので品川の十次式へ。受付をしてから隣にできていた立ち食いそばで親子丼と盛りそばのセット。

 2時からの予定に少し遅刻して早稲田の稽古へ。一年生が仕舞2曲目の〈紅葉狩〉に。幹事長の仕舞〈善界〉何回もやり直し。大きくやれ!
 やはりまだセキが・・・。一杯飲まずに帰る。(当たり前まだ抜糸前。)小督の事なんか聞きたいんだけど、何見なかった?!能見ない人には稽古しないぞ!レポート出さないと進級できない授業があったので・・・といわれると仕方ないか・・・。
 家に帰って7時15分くらい。ちょうど暮れてくる。このところ延ばしていた蛍をかみさんと見に行く。
 カエルの合唱つき蛍の飛行と大輪の花しょうぶ「座間の森」に見事遭遇。


●6月12日 一日一夜を経るにだに 八億四千の思いあり
 今朝は雨が上がった。
 昨日は一日雨。ボーっとして過ごす。前よりマシでも手術は手術か。約半分が書類や本や何やらで埋まっていた食卓の上だけかたづける。簡単なメールを何件か。バーバーへのお礼。差し入れのお礼。勝手な配役への?!。Etc.
Nikki ha kakezu.
昨日の続き。
また子供達は早く出かける。順番が一昨日と逆。
・求塚
・後藤得三
・茶房
・初春の寒さ 初々しいエロス
(以上書くべき宿題)

〔06/06/10〕ふと眼が覚めて ありゃもう夕方か ありゃ雨だ 洗濯〃! 【057】
 昨日は為手。今日は手術。

 今朝は終電で帰る。(「雅」からラーメン屋の「天下一」に寄って老酒、最後はラーメン)水道橋から西村さんがタクシーで新宿をまわってくれて、間に合って坐れたのでよかった。以前はすぐもう一軒・・・ということで、終電に当然のごとく間に合わないことが多かった。その時はもちろん家までタクシー。今日は田園都市線方面のメンバー約二人はどうだったろう。

 12時20分新宿発相模大野行き急行(相模大野から最終相武台前行き各停に。この電車は乗り越す心配がなくてよい)。相武台前終点が1時5分か。結構たくさん乗っているんだ。カバンが重いのでタクシーに乗ろうと思ったが長蛇の列。昨日最終で帰ってきた蓮太郎(大学院で実験の毎日)がもしや乗ってないかと少し待つがいない様子。やむなく歩く。紋付と胴着の入ったカバン、朝よりもずっしり重い。なぜだ? ははあ、汗の分か。血と涙も、とまで言うと大袈裟か? いや大袈裟でもないかもしれん。などと思いつつ手を変えながら、いつもの倍くらいかかって帰る。踏み切り辺で美女一名とすれ違う。この時間に? 帰ったら蓮太郎はご飯が終わったところ。僕もつい冷や奴とアスパラの肉巻一本食べる。カバンから中身を出して胴着類を干し、洗濯物を洗濯機に入れ、風呂に入り寝る。2時10分。朝早いやつがいるという。おやすみ。

 そして5時半、目覚ましがなる。こういうときは意外にすっきり起きられるもの。一名起こす。この人はすっと起きてくる。高校時代の訓練。今日は小手指へ。二人目もパン屋のバイトに6時半に出る。この自転車を取りに駅まで。足は重い。
 歯医者の手前の畑に薄紫のジャガイモの花。この春早稲田を卒業した青森出身のりんご娘が、ポテトチップス屋さんに就職して研修中で近江にいるとこの前葉書をもらったが、はは、そろそろポテト娘になっているか。北海道でジャガイモの収穫の研修もあるはず。

 今日は自治会の資源ごみの回収。ダンボール、新聞紙、缶(誰だ、こんなに缶ビールを飲んだのは!すみません私です。だけど今回ビールは少なくほとんど第三のビールでした。昨日はキリンのプレミアムを買っておいてくれたが、残念ながらしばらく飲めないか)。それに今日は衣類も出す。エーこれまだまだ着れそうジャン。そこらで売れそうじゃン。「売ってみればー。」 ビニール袋(大)二つ分出す。(いつも普通のゴミはうちは少なくて週二回それぞれスーパーの袋ひとつづつ。) ゴミ集積所までは下り坂で助かる。
いつもは昼まで寝ている三人目も今日は8時半前に出る。ついまた、昨日雨の中、部屋から見ていて、ああ、あそこと思っていたモッコクの枝を少し落とす。コーヒーを飲んで寝る。

 11時過ぎに起きてしっかり食べる。うどんのあつもり。(そう、〈敦盛〉は水曜日に舞ったよ。)
 12時歯医者さんにていよいよ奥歯の(あたりの歯周病)手術。左の下一番奥。そもそもここがおかしくて今回の治療に行きはじめた。ここが牙城。仮治療だけして他のところから攻めていった。だからこのところずっとほとんどここでは噛んでいなかった。
 多分私はいい患者だと思う。手術の間ずっと素直に静かに大きな口をあけているから。このくらい我慢できなくてどうやって能ができるのか!・・・ちょっと大袈裟?
 いや、ずいぶん歯をくいしばっているな、能やってる時は。直面のときそれが出すぎる傾向があって写真を見るたびに遺憾に思っているが、なかなか直らない。今回はどうだったろう。(しかし歯は発声に関係するよ。早く全部直ってくれ。)

 手術と言ってもされている側はどうやっているのかわからないのだが、時々うがいをするたび赤黒い血が。切っていることは確かだ。縫っているらしい事も分かる。はいお仕舞い。看護婦さんが口の周りを拭いてくれる。もし何かおかしかったら今日でも明日でもいらっしゃい。痛み止めと抗生物質をもらって帰る。
障子を開けて横になって新聞を読んでいるうちに寝る。ずっと寝る。夕方目を覚ます。おや、雨! ああ今朝は晴れていい天気だったのに。梅雨に入ったばかりで梅雨の中休みは無いよな。

 鏡を見ると以前の手術の時より腫れが少ない。うまくいったのだろうか。痛みもあまり無い。よし。晩御飯、ゆっくりそろそろだが普通に食べる。はあー。
今週の事柄はたくさん有り、また明日書こう。(と言って書けないかもしれないが)今日はこの辺でゆっくりしよう。明日は休日。今夜行こうと思っていた蛍も明日だね。

〔06/06/05〕や、今鳴くはホトトギスにてはなきか 【056】
●6月4日 や、今鳴くはホトトギスにてはなきか いやあれこそ鶯の谷渡り
 また今日も座間閑居の段(約一名6時半。また寝る)。
 ゆっくり起きてコーヒーを入れる。ペーパーフィルター。一時大坊さんでネルドリップを買ってまねしていたけれど、あれは大坊さんにお任せして今は簡単に。濃さから言えば私は大坊さんの二番、かみさんが三番くらいか。ミルク多め。例の目玉焼き。今朝はシメジとさやえんどうのシソイタメ添え。トースト。
 大坊さん、と言えば、昨年の研究公演のパンフレットから始まった企画「青山グルメぐり」が大坊さんで止まっている。銕仙会周辺でお世話になっているお店はいくつもあるので、また進めていかなくては…。「周辺のお店を」というお客様からのご要望は公演アンケートにも多い。
 果物、昨日の桑と夏みかん、トマト。ぬれ縁にて。桑の実、どうも水っぽい。去年のほうがうまかった。日照不足か。

 小人閑居して、チョキチョキして、トカゲと戯れる。

 まず本日の作業の第一は、シュスランの定植。半日陰ということでサカキの根元に。家に有るもので能で使えるのはこのサカキにトクサにシャガ。サカキは〈井筒〉に使える。(山に使えるほどはとても無い。) トクサは〈木賊〉。これは老体の物狂い、なかなかまだ先。シャガは〈敦盛〉にも使うが、一人分しかないから(シテとツレ3〜4人分要る)今度のは頼んでもらおう。

 見ているとまたやりたくなって生垣をチョキチョキ。細かいところは指でも落とす。
 ずいぶん透けてきたね。風通しよくなった。なんだかツマッテルと思うところには虫がいる。どんどん交代しないと腐っていくんだ。

 ちびトカゲがうろちょろ。あれあれ4匹もいるよ。兄弟か。ここはジュラ紀か白亜紀か。もう花茎の枯れてきたジュウニヒトエや、木賊や、(エーとこれがこの間からなかなか出てこないでやっぱり若年性何とかだなと思っている、おおスギナだ)スギナの森の間をチビ恐竜達が行きかう。
白い花。ブライダルベールが隠れて咲いている。
 昨日やったモミジ、まだもっとだけれど、この小さい一本で大山幽谷の趣きあり。

 昼はギョーザのネタの肉団子入りうどん(昨夜はきしめん)。栄養満点、あったまる。
 エゴの木が気になってかみさんと谷戸山公園へ。入ってすぐの三叉路にあったはずなんだが、これが切られている。切り株。その後のクヌギ(かな?)の上から鶯の声。
公園の中へ。森の中、ユキノシタの花、いいね。湧き水の谷に芹やクレソン(残念ながら摘んではいけない!)。キショウブもそろそろ終わりか。その中に一本紫あり。ヨウリュウの綿毛がふわふわ飛ぶ。
 やはりまだ体力回復していないか、池から帰る。田んぼにカエルの声。(佐賀で言う)ピンピンジョの草笛をかみさんに習って吹く。花しょうぶの「座間の森」のつぼみが膨らんでいる。グリとグラの帽子に似た黄色いかわいい花あり。なんと言うのだろう。
 「ぐりとぐら」、大船の十字式の待合室で久しぶりに新しいのを見た。「ぐりとぐらとすみれちゃん」。もうシリーズが始まって40年とか。よく読んだよね。毎晩子供達にはなんか読んでたから。読みながら寝そうになると「寝ちゃダメ!」。おかげで宮沢賢治全集までずいぶん音読しましたね。

 エゴの木は発見されず。毒があると聞くが、そのせいで家には植えないものなのか?
 「や、今鳴くはホトトギスにてはなきか。さん候ホトトギスにて候。面白し、面白し・・・。」は〈歌占〉の一節。親子再会のきっかけになる大事なところ。(ちょうど今、恥ずかしながら私の写真がホームに載っている。寿夫先生の〈歌占〉の衝撃を思い出す。今度またもう一度やろう。)
しかしいつも「ありゃ、ホトトギスの声ってどんなだっけ?」。聞いてはいるんだろうが・・・。
ウグイスは「ホー、ホケキョ」だけでなく谷渡りの声も出すようになって来た。はい、だけど文字には写せません。

 能〈白楽天〉の中では鶯は「初陽毎朝来、不遭還本栖」(しょようまいちょうらい、ふそうげんぽんせい)と鳴くとあり。どうやったらこう聞こえるのかしらん? しかもこれを文字に写せば「初春の朝毎(あしたごと)には来たれども遭はでぞ還る本の栖(すみか)に」という。何せ日本では「生きとし生けるものごとに、歌を詠まぬはなきものを。」なのだべし!ふむふむ、今でも雑誌、新聞で短歌・俳句の欄の無いものは無いだろうからね。これ能の原点なり。歌、詠むべし!
 歌詠めば 胸かろくして またいづる わがゆく道の あすの花見ゆ
 明日からは稽古や申し合わせ本番で、一週間があっというまか。腹がしまってくる。

 さてもう少しセキも閉めよう。

〔06/06/03〕山科閑居の段 【055】
●5月31日 十薬の花が 咲いている 夢見てさ―いている庭のほとり
 あんれ もう 五月も終わりだべさ。
 昨日は山形から(上山(かみのやま)温泉から乗車)帰って(新幹線の中は熟睡)、午後から青山の稽古日。昼間は二人だけでゆっくり。能〈楊貴妃〉と謡〈水無月祓〉。まもなく80歳と90歳。こちらが元気をいただく。
 〈楊貴妃〉はこのところ「序の舞」の部分のお稽古。こういう舞の類は初めてだったが、目標だった「今月中に一応序の舞全部を舞えるところまで」をクリアー。今度から舞の後の終曲部を。
 〈水無月祓〉は、来月の銕仙会で西村さんが舞う。めったにやらない曲だから、こうやって持ってきてくれると、こちらも自然に稽古になってありがたい。御自宅が歩いてすぐ。去年腰椎の手術。そろそろと歩いて。「やらないと声が出なくなるから。」 
 夕方桂三君のお弟子さんからの差し入れの岩ガキを事務所でいただく。美味(少々のロゼのシャンパンと。…内緒です)。

・チラシ校了
・追善
・ホタルブクロ
・麦の秋
・竹の秋
・藤に桐 
・ふうき豆
・上山温泉
・蛙と薪能
・赤坂氏
 以上書き上げる元気なく項目だけを入れておいたもの。少し書き足せば…(6月3日)。

・チラシは秋の研究公演のもの。それぞれの部署がんばって、今度の銕仙会に間に合うように私達も山形で連絡などしながら。この公演は故八世銕之亟先生の追善の意を込めてということを、この日青山にて現銕之丞師にもお話し、仕舞も舞って頂くことに。
・ホタルブクロは後述
・山形への道中。群馬は麦の秋。そして竹の秋。福島を過ぎて山越えにかかれば藤の花。すばらしい。桐も多い。今から桐植えて孫がお嫁にいく時に間に合わせようか。何坪いるか。
・お土産にふうき豆を荻原さんにいただく。えんどう豆が苦手なはずのマヤも食べる。不思議。
・山形泊まりはかみのやま温泉「古窯(こよう)」。久しぶりの温泉。舞台の後、おいしい食事にお酒に温泉。真にありがたいことなり。1時までの展望風呂は私が最後。その後また部屋で何人かでビールを飲み、布団に入ってから3時ごろまでどうやって能をやっていくかについてA君としゃべる。
西村氏の写々丸日記復活がめでたい。その中にあるように今回の舞台(東北芸術工科大学 薪能)は池の中(一度舞台から落ちそうになってびっくり)にある。蛙が鳴いているのだ!土蜘蛛の後シテ出て行くべく作り物の中に控えていたら、げっこげっこの声が大きくなって、ありゃ雨降るかな。見ていた荻原さんが、後で言うところによれば、土蜘蛛が終わってお客様の拍手(すごい拍手をいただき有難うございました。あの長い橋掛かりを歩いている間ずっとだった。)とともに蛙の声もだんだん大きくなって、そしたら雨が降ってきたとの事。
赤坂憲雄氏が学長先生と楽屋に能が終わって挨拶に見えたのでもう20年ぶりかで握手。地照舎を始めたころ光文社の新田さんの紹介で青山の前のヨックモックでお会いしたように思う。私と同年。当時はまだ東大の大学院か助手のころ。今は民俗学、ことに東北学の先頭。いつかまたゆっくりとお話を伺いたいもの。


●6月1日 衣替え単がええもう半そでだべし!
 発見!
 蓑虫は位置を変える。南天についた蓑虫をこの前発見した。今日見たら違うところにいるではないか。ミヤコワスレのかそけき紫の花びらを喰う輩はけけけのどくどく毛虫! 毛むくじゃらの玉から咲いたポピーの花びらを食う奴に毛なし!

 昨夜は三菱さんの帰り、新宿からのロマンスカー。途中まで〈敦盛〉をやっていたんだが、ふと車掌さんの声―「もしもしお客さん、町田過ぎましたが、どちらまでですか?」
アリャリャン! 本厚木まで行って引き返す。
 そしてご飯を食べてお風呂へ入ってさて寝るかという時になって、ふと思いついて包丁を砥石で研ぐ(昔話ではお客さんがとまっていたら驚くところだよ)。よく切れるようになったよ、ほら親指ちょっと触ったら切れたよ。わお!

 昨日も書こうと思ったことをただ項目だけ挙げておいて後で書こうと思ったけれどかけないねえ。

 今日は早稲田の稽古が早く終わったので、何人かとメルシーでラーメン(私はモヤ大)を食べていたら、外をわがソフト娘が通った。おやおやと思ったら、食べ終わっていたラーメンのどんぶりに上着のすそをじゃぼん!

 今日は咳がひどく消耗。また明日。


●6月3日 山科閑居の段(座間閑居の段だよこりゃ)あい勤めまする太夫…
 今日はセキの後遺症のため楽劇学会を無断欠セキ。すみません。
 今日の研究会の「明治期の能楽復興」や奏演とシンポジウムの「舞楽と能」は興味あることなり。(かつて宮内庁学部の方からアニメーション映画「源氏物語」のために「青海波」を習ったことあり。) 実際の舞の比較は面白かったろう。
 蒲生郷昭・美津子御夫妻(御子息が私の内弟子時代に山本順之氏のところにとても熱心にお稽古にみえていた)にもお会いできるかと思っていたのだけれど、残念。このところ沖縄で美津子先生にお世話になっている。張り板や面をお借りしたり…。この前は発表会も見ていただいた(この前山形公演の時見たJR東日本の雑誌トランベールの今月の特集は「蒲生氏郷を旅する」)。
それから竹本幹夫先生。今度の早稲田高校の鑑賞会の打合せを今日と思っていましたが、お電話します。

 セキ! 今日はそれでも少しよくなった。
 昨日の朝、たまりかねてかみさんと大船の十字式健康法へ。大船は初めてだが、前に品川の会場へ行ったことあり。キリスト教(私はもともとは念仏の徒。キリスト教は嫌いではないが信者ではない)。バット、宗教色なし。治療は背中を見せて坐るだけ、一分くらいか。フンフンと言う掛け声という何というか、押すというか気を入れるというか、それですんでしまう。狐につままれたようなもの。腰痛・内臓疾患等の方はだまされたと思って行くべし。
 残念ながら、治療の後はもうすぐにセキが全然出ないという事はなかった(ただしたとえばぎっくり腰なら帰りにはまっすぐ歩いて帰れます)。
 でもずいぶん楽になったので、駅まで昼時の市場をぶらつく。車の通らない道の市場、良いね。魚屋、八百屋、肉屋、履物、服…。元気が出る。市場の記憶は小さいころの神戸「新開地」。『市』では網野さんに地照舎で講演していただいた。赤坂さんもテーマにしているか。
 横丁に「新橋寿司正」の看板を見つけ入る。(町田で時々行くのは「すし正」)正解。ランチの握り1050円。光物がきれいに仕込んであったがランチには入ってなかったので、今度はお酒の飲めるときに来たい所。
 せっかくなので鎌倉による。まず横須賀線で北鎌倉。建長寺。大きいだけかな。やっぱりちょっと、ちゅかれてきた…のでバスで鎌倉駅へ。江ノ電で極楽寺下車。極楽寺は観光客にお愛想のないよい寺。しかし、ウーンやっぱりどんどん草臥れて来てかみさんは、海岸まで行きたかったらしいが今回は割愛、また江ノ電で藤沢まで行き小田急で帰る。帰って寝る。夕食は餃子!ニラにキャベツ、庭のシソの間引きも入れる。この間包丁を研いだのでよく切れるね。しかしまだ絆創膏してるので包むのは遠慮しておく。温まるように水餃子でいただく。栄養つけて、また夜も寝る。

 そして今朝。
 子供達は皆6時台に出立。蓮太郎は臨検で断層の観察とか。それは白亜紀!能はたかだか700年。

 近所の散歩。白く美しいのはバイカウツギ。鳥の糞が落下、紫? ああ、桑の実を食べた奴らだ。私達もいただく。たくさん落ちてもったいない。白い花といえば、うちで咲いているのは白蝶花、ドクダミ、そして三つ葉のかわいい花。公園のエゴの木はどうしたろう。ありゃ、蛍は? うちのホタルブクロは咲いたよ。

 朝寝に昼寝。午後濡れ縁に腰掛けていたら、モミジをやりたくなって、少しはさみを入れる。もう山芋が二本絡んでいて切らないよう気をつける。(一本はそこから梅の上まで行ってる。またむかごが楽しみ。) しばらく前に少しざっとやってあったモミジ。こうやってふと出来るもの。じっと見てると「ああ、あそこを落とせばいい」とわかるものだというが、なかなかそうはなあと思っていたが、いやいややっぱりそういうもの。今日の二・三の枝はそれ。後は重なってるところを着実に落としていく。まだ品が出ないがまあ今日は集中力もないのでこの辺で…(実は狭いので周りのものを踏まないようにやるのに集中力と筋力がいる)。

 明日も休み。このところ青山へ行ってないねえ。おやおや、座間閑居の段か。ああ明日は三つ葉を摘もう。
 「物言えば唇寒し」とふと浮かぶ。ははあ、「物言わず唇寒し」もあるか。おお、「物言えず唇寒し」もあるか。なんだだらしない。

 榮夫先生の能が人を感動させている。この前の〈邯鄲〉を観た学生が口々に言う。書の世界でも、枯れてしまっているはずの最晩年にどんどん澄んで力強くなることありと聞く。

 あのセキで来週をどう乗り切ろうかと思ったが、まあどうにか持ち直した。さて、これでどう…。なんだかしかし、割合ゆったりと曲に向えるねー。
 ここんとこ例会の入場者が少なかったが、幸い今度の例会は満員(これから申し込もうと思っていらした方には申し訳ない次第)。水曜日の早稲田の高校の鑑賞会も始めてのもの。まずは何か面白いと思って帰ってもらいたい。〈敦盛〉はもう私の年ではやる機会は無いかと思っていたが…、そうそう、〈敦盛〉の前シテも〈小督〉も直面じゃないか。このところ床屋に行く機会無くて、ああ、このライオン頭どうしよう!
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