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〔06/06/03〕山科閑居の段 |
【055】 |
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●5月31日 十薬の花が 咲いている 夢見てさ―いている庭のほとり
あんれ もう 五月も終わりだべさ。
昨日は山形から(上山(かみのやま)温泉から乗車)帰って(新幹線の中は熟睡)、午後から青山の稽古日。昼間は二人だけでゆっくり。能〈楊貴妃〉と謡〈水無月祓〉。まもなく80歳と90歳。こちらが元気をいただく。
〈楊貴妃〉はこのところ「序の舞」の部分のお稽古。こういう舞の類は初めてだったが、目標だった「今月中に一応序の舞全部を舞えるところまで」をクリアー。今度から舞の後の終曲部を。
〈水無月祓〉は、来月の銕仙会で西村さんが舞う。めったにやらない曲だから、こうやって持ってきてくれると、こちらも自然に稽古になってありがたい。御自宅が歩いてすぐ。去年腰椎の手術。そろそろと歩いて。「やらないと声が出なくなるから。」
夕方桂三君のお弟子さんからの差し入れの岩ガキを事務所でいただく。美味(少々のロゼのシャンパンと。…内緒です)。
・チラシ校了
・追善
・ホタルブクロ
・麦の秋
・竹の秋
・藤に桐
・ふうき豆
・上山温泉
・蛙と薪能
・赤坂氏
以上書き上げる元気なく項目だけを入れておいたもの。少し書き足せば…(6月3日)。
・チラシは秋の研究公演のもの。それぞれの部署がんばって、今度の銕仙会に間に合うように私達も山形で連絡などしながら。この公演は故八世銕之亟先生の追善の意を込めてということを、この日青山にて現銕之丞師にもお話し、仕舞も舞って頂くことに。
・ホタルブクロは後述
・山形への道中。群馬は麦の秋。そして竹の秋。福島を過ぎて山越えにかかれば藤の花。すばらしい。桐も多い。今から桐植えて孫がお嫁にいく時に間に合わせようか。何坪いるか。
・お土産にふうき豆を荻原さんにいただく。えんどう豆が苦手なはずのマヤも食べる。不思議。
・山形泊まりはかみのやま温泉「古窯(こよう)」。久しぶりの温泉。舞台の後、おいしい食事にお酒に温泉。真にありがたいことなり。1時までの展望風呂は私が最後。その後また部屋で何人かでビールを飲み、布団に入ってから3時ごろまでどうやって能をやっていくかについてA君としゃべる。
・西村氏の写々丸日記復活がめでたい。その中にあるように今回の舞台(東北芸術工科大学
薪能)は池の中(一度舞台から落ちそうになってびっくり)にある。蛙が鳴いているのだ!土蜘蛛の後シテ出て行くべく作り物の中に控えていたら、げっこげっこの声が大きくなって、ありゃ雨降るかな。見ていた荻原さんが、後で言うところによれば、土蜘蛛が終わってお客様の拍手(すごい拍手をいただき有難うございました。あの長い橋掛かりを歩いている間ずっとだった。)とともに蛙の声もだんだん大きくなって、そしたら雨が降ってきたとの事。
・赤坂憲雄氏が学長先生と楽屋に能が終わって挨拶に見えたのでもう20年ぶりかで握手。地照舎を始めたころ光文社の新田さんの紹介で青山の前のヨックモックでお会いしたように思う。私と同年。当時はまだ東大の大学院か助手のころ。今は民俗学、ことに東北学の先頭。いつかまたゆっくりとお話を伺いたいもの。
●6月1日 衣替え単がええもう半そでだべし!
発見!
蓑虫は位置を変える。南天についた蓑虫をこの前発見した。今日見たら違うところにいるではないか。ミヤコワスレのかそけき紫の花びらを喰う輩はけけけのどくどく毛虫! 毛むくじゃらの玉から咲いたポピーの花びらを食う奴に毛なし!
昨夜は三菱さんの帰り、新宿からのロマンスカー。途中まで〈敦盛〉をやっていたんだが、ふと車掌さんの声―「もしもしお客さん、町田過ぎましたが、どちらまでですか?」
アリャリャン! 本厚木まで行って引き返す。
そしてご飯を食べてお風呂へ入ってさて寝るかという時になって、ふと思いついて包丁を砥石で研ぐ(昔話ではお客さんがとまっていたら驚くところだよ)。よく切れるようになったよ、ほら親指ちょっと触ったら切れたよ。わお!
昨日も書こうと思ったことをただ項目だけ挙げておいて後で書こうと思ったけれどかけないねえ。
今日は早稲田の稽古が早く終わったので、何人かとメルシーでラーメン(私はモヤ大)を食べていたら、外をわがソフト娘が通った。おやおやと思ったら、食べ終わっていたラーメンのどんぶりに上着のすそをじゃぼん!
今日は咳がひどく消耗。また明日。
●6月3日 山科閑居の段(座間閑居の段だよこりゃ)あい勤めまする太夫…
今日はセキの後遺症のため楽劇学会を無断欠セキ。すみません。
今日の研究会の「明治期の能楽復興」や奏演とシンポジウムの「舞楽と能」は興味あることなり。(かつて宮内庁学部の方からアニメーション映画「源氏物語」のために「青海波」を習ったことあり。) 実際の舞の比較は面白かったろう。
蒲生郷昭・美津子御夫妻(御子息が私の内弟子時代に山本順之氏のところにとても熱心にお稽古にみえていた)にもお会いできるかと思っていたのだけれど、残念。このところ沖縄で美津子先生にお世話になっている。張り板や面をお借りしたり…。この前は発表会も見ていただいた(この前山形公演の時見たJR東日本の雑誌トランベールの今月の特集は「蒲生氏郷を旅する」)。
それから竹本幹夫先生。今度の早稲田高校の鑑賞会の打合せを今日と思っていましたが、お電話します。
セキ! 今日はそれでも少しよくなった。
昨日の朝、たまりかねてかみさんと大船の十字式健康法へ。大船は初めてだが、前に品川の会場へ行ったことあり。キリスト教(私はもともとは念仏の徒。キリスト教は嫌いではないが信者ではない)。バット、宗教色なし。治療は背中を見せて坐るだけ、一分くらいか。フンフンと言う掛け声という何というか、押すというか気を入れるというか、それですんでしまう。狐につままれたようなもの。腰痛・内臓疾患等の方はだまされたと思って行くべし。
残念ながら、治療の後はもうすぐにセキが全然出ないという事はなかった(ただしたとえばぎっくり腰なら帰りにはまっすぐ歩いて帰れます)。
でもずいぶん楽になったので、駅まで昼時の市場をぶらつく。車の通らない道の市場、良いね。魚屋、八百屋、肉屋、履物、服…。元気が出る。市場の記憶は小さいころの神戸「新開地」。『市』では網野さんに地照舎で講演していただいた。赤坂さんもテーマにしているか。
横丁に「新橋寿司正」の看板を見つけ入る。(町田で時々行くのは「すし正」)正解。ランチの握り1050円。光物がきれいに仕込んであったがランチには入ってなかったので、今度はお酒の飲めるときに来たい所。
せっかくなので鎌倉による。まず横須賀線で北鎌倉。建長寺。大きいだけかな。やっぱりちょっと、ちゅかれてきた…のでバスで鎌倉駅へ。江ノ電で極楽寺下車。極楽寺は観光客にお愛想のないよい寺。しかし、ウーンやっぱりどんどん草臥れて来てかみさんは、海岸まで行きたかったらしいが今回は割愛、また江ノ電で藤沢まで行き小田急で帰る。帰って寝る。夕食は餃子!ニラにキャベツ、庭のシソの間引きも入れる。この間包丁を研いだのでよく切れるね。しかしまだ絆創膏してるので包むのは遠慮しておく。温まるように水餃子でいただく。栄養つけて、また夜も寝る。
そして今朝。
子供達は皆6時台に出立。蓮太郎は臨検で断層の観察とか。それは白亜紀!能はたかだか700年。
近所の散歩。白く美しいのはバイカウツギ。鳥の糞が落下、紫? ああ、桑の実を食べた奴らだ。私達もいただく。たくさん落ちてもったいない。白い花といえば、うちで咲いているのは白蝶花、ドクダミ、そして三つ葉のかわいい花。公園のエゴの木はどうしたろう。ありゃ、蛍は? うちのホタルブクロは咲いたよ。
朝寝に昼寝。午後濡れ縁に腰掛けていたら、モミジをやりたくなって、少しはさみを入れる。もう山芋が二本絡んでいて切らないよう気をつける。(一本はそこから梅の上まで行ってる。またむかごが楽しみ。) しばらく前に少しざっとやってあったモミジ。こうやってふと出来るもの。じっと見てると「ああ、あそこを落とせばいい」とわかるものだというが、なかなかそうはなあと思っていたが、いやいややっぱりそういうもの。今日の二・三の枝はそれ。後は重なってるところを着実に落としていく。まだ品が出ないがまあ今日は集中力もないのでこの辺で…(実は狭いので周りのものを踏まないようにやるのに集中力と筋力がいる)。
明日も休み。このところ青山へ行ってないねえ。おやおや、座間閑居の段か。ああ明日は三つ葉を摘もう。
「物言えば唇寒し」とふと浮かぶ。ははあ、「物言わず唇寒し」もあるか。おお、「物言えず唇寒し」もあるか。なんだだらしない。
榮夫先生の能が人を感動させている。この前の〈邯鄲〉を観た学生が口々に言う。書の世界でも、枯れてしまっているはずの最晩年にどんどん澄んで力強くなることありと聞く。
あのセキで来週をどう乗り切ろうかと思ったが、まあどうにか持ち直した。さて、これでどう…。なんだかしかし、割合ゆったりと曲に向えるねー。
ここんとこ例会の入場者が少なかったが、幸い今度の例会は満員(これから申し込もうと思っていらした方には申し訳ない次第)。水曜日の早稲田の高校の鑑賞会も始めてのもの。まずは何か面白いと思って帰ってもらいたい。〈敦盛〉はもう私の年ではやる機会は無いかと思っていたが…、そうそう、〈敦盛〉の前シテも〈小督〉も直面じゃないか。このところ床屋に行く機会無くて、ああ、このライオン頭どうしよう! |
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